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カフェで読書する私に話しかけてきたのは、見知らぬ男性で

仕事をするうえで人間関係が大事ってことは、
コウちゃんに言われなくてもわかってる。
だから、ランチくらいひとりでのんびりしたいなと思っても、
誰かを誘ったり、誘われたりして一緒に食べる。
たいていは、同じ仕事を担当している明莉さんと
食事をすることになるんだけど。

ところが近ごろ、明莉さんとのランチが苦痛になってきた。
理由のひとつは、明莉さんの企画が通りそうなこと。
私の『知育影絵ランプ』は却下されたのに。
もうひとつの理由は、明莉さんの恋愛話。
はじめは聞くのが楽しかった。
でも、コウちゃんとうまくいっていない今の私には……。
どっちも嫉妬だ。自分の仕事も家庭もうまくいっていないことを
実感させられて、つらくなる。

土曜日のコウちゃんに怪しい気配はなかったけれど、
それがまた怪しいという気がしてしまう。
そんな自分をリセットしたくて、翌日、美容院へ行った。
黒髪がケープにパサパサと落ちていくのを見ているうちに、
心の中の黒い感情もそぎ落とされていく気がした。

すがすがしい気分で美容院を出て、近くのカフェに入った。
ひとりでのんびり紅茶を飲みながら、読書するなんて久しぶり。
ささやかな幸せに、自然と笑みがこぼれそうになる。
これまでの私は余裕がなさすぎたのかもしれない。
そう思っていると、「あの……」と声をかけられた。
隣の席で、見知らぬ男性が私に微笑みかけていた。

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