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専門家雑学 不調

アラサー女性の38%が抱える月経痛。意外に知られていない、不妊との関係性とは

病院で診察される女性「月経中は痛みがあるのが当たり前」……そんなふうに思っている女性は少なくないかもしれません。働く女性の健康に関する実態調査(女性労働協会、2004年 )によると、25歳未満の43.1%、25~30歳未満の38.2%、30~35歳未満の33.2%が、強い月経痛を訴えています。そんな女性の多くは、「月に1、2日程度のことだから」と痛みをガマンしたり、市販の鎮痛剤を服用したりして何とかやり過ごしているのが現状でしょう。しかし、月経痛を放置することは将来の不妊を引き起こす可能性もあるのです。

 

■不妊の原因となる子宮内膜症

晩婚化などによって増えている不妊ですが、そのうち3~4割の人に子宮内膜症があると言われています。子宮内膜症は、本来子宮の内側にある子宮内膜やそれに似た組織が、子宮以外のさまざまな場所にできてしまう病気のことです。内膜組織は月経周期ごとに増えていき、炎症を起こすことで痛みや癒着が生じます。このため、子宮内膜症の9割程度の人に月経痛があり、月経時以外にも下腹部が痛む慢性骨盤痛を併発する人も多くみられます。また、炎症によって卵管や卵巣が癒着することなどから、不妊を引き起こします。

■子宮内膜症は月経血の逆流で起こる

子宮内膜症の原因は明らかになっていませんが、もっとも可能性が高いといわれているのが月経血の逆流です。逆流した月経血の中に含まれている内膜組織が腹膜や卵巣などにくっつき、子宮内膜症を起こすと考えられています。当然、経験する月経の回数が多くなるほど逆流は起こりやすく、発症の危険性が高まります。つまり子宮内膜症は、晩産化や少子化の影響で増えている現代病なのです。

■放置するといざ妊娠したいときにできない体に

「従来、子宮内膜症は10~20代の女性には少なく、30代になって発症する人が増えると考えられてきました。しかし近年の米国の調査で、慢性的な骨盤痛や月経痛がある思春期の女性の47%に子宮内膜症があることが明らかになったのです」

そう話すのは、渋谷文化村通りレディスクリニック院長の入江琢也医師。しかし、そのほとんどは軽症の子宮内膜症でした。

「子宮内膜症は進行性の病気で、進行するほど不妊になる確率が高くなります。つまり若い頃に子宮内膜症を放置していると、知らず知らずのうちに進行し、いざ妊娠を望んだ時期に不妊になっているというケースが考えられるのです」(入江医師)


■低用量ピルで痛みを抑え、進行を抑制する
そこで最近は、早くから子宮内膜症を治療することで、将来の不妊を予防するという考え方が普及してきています。痛みを軽減するだけではなく、進行を抑制する治療薬として用いられているのが、低用量ピルです。低用量ピルとは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2種類の女性ホルモンが含まれている薬で、服用すると体が妊娠したときに近い状態になり、排卵を抑制する作用があります。
ホルモン剤というと抵抗がある人もいるかもしれませんが、低用量ピルは副作用が少なく、長期間の服用による悪影響はないとされています。ただしピルを服用すると、年間1万人あたり3~9人程度が血栓症(血管内で血液が凝固する病気)を発症します。ピルを服用していない女性の場合は1万人中1~5人発症する病気なので、比べると、低用量ピルを服用した場合はやや発症のリスクが上がるというわけです。このため、もともとヘビースモーカーや高血圧など血栓症のリスクがある人は、エストロゲンの産生を抑制して子宮内膜の増殖を抑える黄体ホルモン剤などを使用することになります。黄体ホルモン剤は血栓症のリスクはほぼないとされていますが、不正出血が起こりやすくなります。低用量ピルを服用した場合に経験したことのないような腹痛や頭痛などが発生した場合は、すぐに医療機関を受診することが大切です。

「妊娠中や産後も血栓症のリスクが高まるものですが、それに比べればピルの服用による血栓症の頻度ははるかに低いものです。痛みの程度に関わらず、月経痛がある人は将来の不妊を予防するためにも、婦人科を受診することをおすすめします」(入江医師)

本来なら、月経痛は起こらないのが当たり前。痛みがあるのは何らかの異常があるサインととらえて、一度婦人科を受診してみては?

(中寺暁子)

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