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雑学 生活

殺菌と抗菌って、なにが違うの?―殺菌と除菌は「減らす」、抗菌は「増やさない」

清潔好きで知られる日本人。レストランのトイレにはアルコール消毒剤が当たり前のように用意され、下着から靴下まで抗菌仕様が販売されている。

【冷たいから嫌!でも、手洗いは冷たい水を使わないないと効果半減!】

殺菌と抗菌はなにが違うのか? どちらも菌を殺す役目は同じだが、医薬品か洗剤かによって名前が変わる。カビには効かない、菌が減らない仕様もあるので、使い分けが肝心だ。

■滅菌>殺菌>抗菌

内閣府の「消費動向調査」によると、平成23年度の温水洗浄便座の普及率は73.5%にものぼり、パソコンの77.3%、デジタルカメラの76.3%に並び、生活必需品と呼べるレベルになっている。便座はもちろんのこと、トイレットペーパー・ホルダーから台所用品までが抗菌仕様で、バイ菌に対する嫌悪感は、やや過剰にも思える。

「殺菌」と「抗菌」はなにが違うのか? 殺菌は薬事法で定められた言葉で、医薬品もしくは医薬部外品にのみに使われる。文字通り細菌を死滅させる意味なのだが、「なにを」「どれくらい」が明確に定義されていないので、数が減っても全滅しない場合もあれば、効かない菌もある。

対して抗菌はJIS(日本工業規格)から生まれ、薬ではなく「物」を対象とした言葉だ。衣類などの繊維、プラスチックや金属など素材によって細分化されるものの、基本となるJIS Z2801では「製品の表面における細菌の増殖を抑制する」と定められている。

つまり菌が増殖しなければOKなので、完全に排除する/減らす、は期待できない。

また、抗菌の試験に使われる菌は、食中毒の代名詞とも呼べる黄色ぶどう球菌と大腸菌がメインで、対象がはっきりしない殺菌よりも効果がありそうに思えるが、この2つの菌以外には効果が薄いとも解釈できる。なかでもカビ、黒ずみ、ヌメリは対象外と定義されているので、抗菌仕様なのにカビが生えた!と騒がないように。

殺菌/抗菌よりも、はるかに強力なのが滅(めっ)菌だ。その名の通り「全滅」を意味し、微生物だろうがウィルスだろうが対象を選ばずやっつける方法で、身近なところではほ乳ビンをお湯といっしょにグラグラ煮立てる煮沸(しゃふつ)だ。

医療機関や工場などでは高圧蒸気や紫外線、酸化エチレンガスなども使われる。万が一にも菌が生き残ってしまう確率は滅菌性保証水準(SAL)と呼ばれ、100万分の1以下にならないと滅菌とは名乗れない、厳しい基準が定められているのだ。

■菌が減らなくても消毒完了?

消毒と除菌はどう違うのか? 消毒はケガ、除菌は掃除のイメージが強いものの、目的が違うと表現できる。

消毒は、殺菌と同様に薬事法で定められた処置方法なので、消毒液/剤と名乗れるのは医薬品だけだ。目的は、

・感染力を失わせる

・毒性を無力化する

なので、たとえバイ菌が死滅しなくても、悪さしなければ任務完了だ。

家庭で使われる消毒薬としてはクレゾール、ポピドンヨード、消毒用エタノールが一般的だ。クレゾールは病院特有のにおい、ポピドンヨードはうがい薬、エタノールはアルコールと言えば話が早いだろう。

対する除菌は医薬品ではない。洗剤や漂白剤に多く見かけるように、分類は「家庭用製品」なのだ。

家庭用製品と言っても、あなどるなかれ。日本石鹸(せっけん)洗剤工業会の公正競争規約には「増殖可能な細菌の数を有効数減少させること」と記され、つまり、悪さをしないレベルまで菌を減らさなければ「除菌」と表示できない。

また、公正競争規約だけにきちんと試験し、基準をクリアした製品なので安心できるが、抗菌同様にカビには効果がないのでご注意あれ。

■まとめ

・殺菌と除菌は「減らす」、抗菌は「増やさない」

・滅菌は「100万分の1以下に減らす」の意味

・抗菌と除菌は、カビに効果なし

水まわりの定番・抗菌/除菌がカビに効かないと知り、軽いショックを受けた。

暖かくなるにつれ食中毒も発生しやすい。表示や効能を拡大解釈せず、効果的に使い分けて頂きたい。

(関口 寿/ガリレオワークス)

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