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雑学 海外旅行

もしも超高速列車を作るなら「アメリカ:超高速列車ハイパーループ計画」

2013年8月、アメリカで超高速列車ハイパーループ計画が発表された。サンフランシスコ~ロサンゼルス間の1,100km余りを30分で移動できるというから、世界はさらに狭くなりそうだ。

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もっと高速な列車は作れるのか? リニアモーターで駆動するET3なら超音速も可能だが、宇宙旅行と同じ真空チューブ内での移動は、恐怖に耐えられるかがポイントになりそうだ。

■宙を浮く列車

ハイパーループのもとをたどるとカリフォルニア高速鉄道計画にたどり着く。この計画は総延長およそ1,300kmもの鉄道を作り、ロサンゼルス~サンフランシスコ間を2時間40分で結ぶ壮大な計画だ。乗り換えなしで行ける東京~博多の約1,200kmが5時間程度なので、新幹線の倍ほど速い計算になる。

そのため列車は最高時速354km、人口の多いボストン近郊も240kmで突っ走るというから驚きだ。2012年にカリフォルニア州で承認されたので、完成は時間の問題なのだろうが、総工費およそ700億ドル、第一期工事だけでも約24億ドルとも言われている予算が大きなネックとなっている。

ハイパーループは、列車と呼ばれているものの、ハイウェイに沿って設置されたチューブ内を移動する仕組みで、線路も電線もない。前面に取り付けたファンを内蔵バッテリーで回転させ、取り込んだ空気を後方と下部に排気して進むのだ。

下部の排気は自分を浮かせるためで、チューブとは接触しない。盤面から排出される空気で浮いたパックをはじくゲーム「エアホッケー」と同じ原理なので、路面との摩擦が生じないため高速移動できる。乗客28人の状態で、最大速度1,223km/時が可能と試算されているのだ。

音速はおよそ340m/秒、時速になおすと1,224kmだから、ハイパーループは「ほぼ音速」で進むことになる。計画では1.1まで可能とされているが、音速を超えるには衝撃波の問題をクリアしなければならない。

高速になるにつれ空気は大きな抵抗となり、速度、燃費、振動などすべての面で悪影響を及ぼす。いくらファンで吸い込んだとしても、列車の前面を真空にするほどのパワーは期待できない。

■マッハ5.3で国内旅行?

この点で有利なのはET3だ。ET3も基本構造はハイパーループと同様だが、チューブ内を真空にしているのが大きな違いで、空気抵抗を受けないためリニアモーターで走る180kgの車体+乗客6人を時速6,500km、マッハ5.3で移送できるというのだ。

ET3が実現したらどうなるのか? 同社のwebではニューヨーク~北京間を2時間で移動できると記されているので、

・距離 … 10,990,000m

・時間 … 7,200秒

・最高速度 … 1,805.5m/秒

をもとに、スタートから最高速度に達する時間、最高速度から停止までの時間を同じと仮定して計算すると、

・スタートから最高速度まで … 1,113秒(18.5分)

・最高速度で巡航する時間 … 4,973秒(1時間22.8分)

・停止までの減速時間 … 1,113秒(18.5分)

となり、加速度は0.16Gなる。1秒間に時速5.8kmずつ加速している状態だから、自動車よりはるかに穏やかだ。

品川~名古屋間の約286kmに予定されているリニア中央新幹線に当てはめるとどうなるか?約419秒間加速して681m/秒に達したら減速をはじめ、スタートから14分で目的に到着することになる。距離が短すぎて最高速度には遠く及ばないものの、681m/秒でもジェット戦闘機なみのマッハ2だから良しとしよう。

使い勝手はどうだろうか?チューブは直径1.5mとされているので、286kmを真空にするためには、まずは約653トンの空気を抜かなければならない。内部が真空になったチューブには、大気によって1平方cmあたりに約1kgの圧力が加わるので、亀裂やへこみがないか、毎日入念なチェックが必要だ。

もし列車前方に空気があったら衝撃波と圧縮断熱で列車は破壊されてしまうだろうし、出発駅から空気が流入したら大砲のように打ち出されてしまう。途中で列車が止まってしまっても、外に出るのは止めておこう。チューブ内は真空なのだから、からだじゅうの水分が蒸発し、大惨事は免れないからだ。

■まとめ

14分で本場の味噌煮込みうどんが楽しめるのはありがたいが、真空チューブは怖すぎる。ハイパーループなら安全にいけそうだが、およそ千人乗りの新幹線料金を28人に当てはめると、名古屋まで片道38.5万円となり、海外旅行よりも高くつく。

ついでに海老フライを注文できる日は、とうぶん先のようだ。

(関口 寿/ガリレオワークス)

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