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雑学 ボディケア

越境大気汚染の最前線、九州での現状は?PM2.5予報の精度は!?

大陸からの「越境大気汚染」が注目を集めています。日本の九州地方は、越境大気汚染の影響を受けやすく、日本の環境基準を上回るPM2.5濃度を記録することもあります。これから春になると、本格的に汚染物質の飛来が多くなります。

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そこで、越境大気汚染の現状について専門家に取材しました。

九州大学 応用力学研究所の竹村俊彦准教授にお話を伺いました。竹村先生は、気候変動に関する研究の第一人者であり、大気モデルの研究、また汚染物質の越境飛来についての専門家でいらっしゃいます。

■九州地方は汚染物質が飛来しやすい

――先生は、九州大学で越境大気汚染について研究をされています。実際、九州での越境大気汚染の現状はどのようなものでしょうか。

竹村先生 九州は大陸からの距離が近いため、中国からの大気汚染物質、PM2.5などの影響を受けやすい地理的な環境にあります。

ここ最近になって、にわかに注目されるようになりましたが、実は九州では2006年、2007年ぐらいから「どうも大気汚染が進んでいる」ということは、一般の人々も感じていたのですよ。

――どのくらいの大気汚染の規模なのでしょうか。

竹村先生 例えば、さる12月6日にも、北部九州ではかすんで先まで見通しにくいという状況がありました。この日は、4-5km先までしか見通せないというような大気の状態で……。

――普段はどのくらい見通せるのですか?

竹村先生 きれいな時は30kmぐらい見通せるはずなのですが、4-5kmほどでした。この日は、午後から急にPM2.5に濃度が上がって、1立法メートル当たり100μg(マイクログラム)以上を記録しました。

●……日本の環境基準については文末を参照してください。

–日本の環境基準と比べても良くありませんね。人体への影響はどう考えるべきでしょうか?

竹村教授 私は医学者ではないので、これは研究していらっしゃる先生から伺った話です。九州の救急搬送病院で、心臓発作による搬送者が増えているという話があります。

本来心臓発作というのは、冬によく起こる疾病なのですが、これがここ数年春にも増えているようで、越境大気汚染や黄砂との関連性があるのではないかと考えられています。疫学調査により、統計的に有意である、という研究もあるようです。

――それは心配ですね。

竹村先生 過敏になりすぎるのは良くありませんが、呼吸器系疾患を持っている人、アレルギー体質の人、循環器系疾患を持っている人、お子さんなどは注意した方が良いといわれています。

大気汚染物質の影響を受けやすい方々は、PM2.5の予測情報や観測情報を見て、濃度が高くなるような時には外出を控えるなどの予防措置を取ることが賢明だと思います。

■PM2.5予報の精度を上げることが重要!

――環境省が推奨した方法を参考として、各自治体によるPM2.5の予測が始まっていますが……。

竹村先生 PM2.5予測は、一層精度を上げていく必要がありますね。実は、現在の各自治体が行っている予測は、数値モデルを用いてコンピューターに計算させて予測するというものではないのです。

朝あるいは午前中にPM2.5の濃度を計測して、その結果を基に日中はどうなるか、と予測をするものなのです。実際、先ほど申し上げた12月6日、PM2.5の濃度が午後から急激に上がった日には、濃度が高くなるという情報は自治体からはなされていませんでした。

――なるほど。難しいものなのですね。

竹村先生 やはり、天気予報と同じように、信頼性の高い予測モデルを作り、リアルタイムの観測データをそこに入れてコンピューターに計算させ、より精度の高い予報ができるような体制をつくっていくべきなのだと思います。

私が中心となり開発しているSPRINTARS (http://sprintars.net/) という数値モデルでは、PM2.5と黄砂の予測を行っていますが、一層予測精度を向上させる努力をしています。

人の健康に影響することですから、そのような研究を進めていく必要があります。

■PM2.5の観測は世界中で行われている

――中国の大気汚染はずいぶんひどいようですが……。

竹村先生 もともと北京にあるアメリカ大使館などで独自に大気汚染のデータを取り出して、初めて実態が明らかになってきたのです。先日、上海でPM2.5の濃度が今年最悪というデータを記録しました。相当ひどい状況といっていいでしょう。

――中国では、日本への越境飛来の原因を「うちの国じゃない」と言ったりしているようですが……。

竹村先生 人工衛星から観測できる時代ですので、もう隠しようがないです。

例えば、NASAなどの観測衛星からの大気汚染物質に関するデータは、基本的には全てオープンになっています。世界中の学者がそれを基に研究しています。中国の大気汚染はとても深刻なレベルです。

――日本の大気は安心なのでしょうか?

竹村先生 日本も安心してはいけません。光化学オキシダントとPM2.5についてはまだまだ低濃度とはいえません。この二つについては軽減するよう努力する必要があります。

PM2.5については、国土の約28%でしか環境基準をクリアしていないのですから。特に首都圏と九州地方は要注意です。首都圏の場合は、主に自らが排出する大気汚染物質が原因で環境基準をクリアできていません。

九州地方の場合は、飛来物質の影響が大きいと考えることができますけれども。

■日本は春が注意!

――日本では、冬は大気汚染が深刻になるのでしょうか?

竹村先生 日本に越境飛来するのは春先からが本番です。3月から始まって、だいたい梅雨までがピークですね。

例えば、冬ですと、九州地方ではPM2.5の濃度が高い日があっても、だいたい数時間、長くても1日で収まります。しかし、春ではPM2.5の高濃度の日が2、3日続くことがあります。

――読者にアドバイスをお願いいたします。

竹村先生 先ほども申し上げましたが、大気汚染の影響を受けやすい人、お子さんなどは、予測や観測情報をよく見て、濃度が高い日、時間帯には外出を避けるなどの予防措置を取ることをお勧めします。

いかがだったでしょうか。年が明けて、春が近くなったらPM2.5予測に注意するのが良いようです。

<<微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準に関する注釈>>

●……日本の「環境基本法」(1993年施行)に基づいて、環境省は2009年(平成21年)9月に環境基準を告示しています。

微小粒子状物質(PM2.5)における環境基準は、「1年平均値が1立方メートル当たり15μg(マイクログラム)以下で、かつ、1日平均値が1立方メートル当たり35μg以下であること」です。

さらに環境省は、2013年(平成25年)2月に、健康影響が出現する可能性が高くなると予測される濃度水準を、法令等に基づかない「注意喚起のための暫定的な指針となる値」として定めました。

それによると、「1日平均値が1立方メートル当たり70μgを、注意喚起の基準」とし、一日の早めの時間帯に判断する値として1時間値が1立方メートル当たり85μgとしています。

(高橋モータース@dcp)

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