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おかしくない? 結婚の破談の相談を私にするなんて

待ち合わせ場所は、よく知っているカフェ。
ふたりが「いつもの場所」と読んでいた店だ。
入るとテーブル席から輝樹が「やあ」と手を上げた。
以前付き合っていた頃より、少し弱気な感じ。
まあ、今までの彼の仕打ちを考えると、
元気いっぱいに声をかけられても、
笑顔でこたえる気にはなれないけど。

「美紅ちゃん、来てくれてありがとう」
「お礼なんかいいよ。話って何?」
「いや、実は……あ、何か頼んで」
輝樹は押し付けるようにこちらにメニューを渡す。
わたしはそれをろくに見ないで、
お店のおすすめメニューをオーダーした。
しかし不思議なものだ。
あれからほんの少ししか時間がたっていないのに、
輝樹を見ても、まるで心が動かない。
別れた後も忘れられなくて、考えたくなくて、
ヨーロッパ旅行にまで行ったのに。
今はもう、その辺にいるごく普通の人と同じ感覚。

「それで、相談って何?」
「いや、実は結婚が取り止めになりそうなんだ」
え……。
輝樹は悲しそうに肩を落としているけれど、
わたしにその相談をするのは、おかしくない?

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