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まさか付き合ってる? この前別れたばかりなのに……

菅野美佐子は私の胸のうちなど気づくはずもなく、
穏やかな微笑を浮かべながら、自己紹介を続けた。
「私の目標は役員になることです。私の会社には、女性の社外
取締役はいますが、社員から役員になった女性はまだいません。
日本製品は、性能はいいけれど、デザインや使い勝手が
今ひとつで、女性の気持ちがわかっていないものが
多いと感じています。
暮らしをもっと豊かにし、世界の多様性の中で生き抜くには、
女性中心のプロジェクト程度でお茶を濁すのではなく、
もっと本格的に女性が経営に参画すべきだと思っています」
うわ、表情はやわらかいけれど、言っている内容は硬派だ。

次に、私の番がきた。
「佐藤弥生です。専門商社で営業をしています。……」
目標? 私に目標なんて、あったっけ? ――言葉に詰まった。
リストラされないように、営業の仕事を覚える。
そして、三上さんに褒めてもらえたらいいな。
そんな考えが頭に浮かんだけれど、とても言えない。
だって、菅野美佐子の目標とは次元が違いすぎて恥ずかしい。

あ、そうだ。私にも叶えたいことがあった。
それは、達彦のことを忘れること。
それなのに、今日、菅野美佐子に会ったせいで、
また痛みを思い出している。
あなたは土曜日、また達彦に会うんでしょう?
私はもう、会いたくても、会えないのに。
まさか、付き合っているの? もし、そうだったら……。
でも、私たちはこの前別れたばかりだし、そんなはずは……。
真実を知りたい。

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