【新連載】妊娠……? それはあまりにも突然の出来事で
創ちゃんはわたしの目を見ながら、
そして時々わたしの後に、
たぶん過去に話し合った時の、
おとうさんの様子を思い出しながら、
淡々と話してくれた。
「ね、涼子。規模は小さくても、
結婚式はちゃんとあげよう。
そして両方の両親も呼んで恩返ししよう」
そっか。
わたしは出産と生まれてくる赤ちゃん、
その他、自分以外のことばかり思いつめて、
自分の結婚、まして式なんて、
ぜんぜん考えていなかった。
「創ちゃん、ありがとう」
「いいよ、そんな礼なんて。
おれたちこれから、家族になるのに」
創ちゃんはそう言ってパソコンを止めると
「麦茶でも飲もう」と、
わたしをダイニングに誘った。
その後についていきながら、わたしは
「たくさんのプレゼントをありがとう」
とお腹の中の赤ちゃんに感謝した。
(終わり)
※この記事は2013年08月01日に公開されたものです