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【新連載】20代最後の夜を、ひとりぼっちで迎えるなんて

Story3 ★中途半端はもう終わり

「いや合コン的な飲み会は、数合わせで、
頼まれたから仕方なく行ってるだけだよ」
にらむわたしに、駿の声はだんだん小さくなる。
「じゃあ逆に聞くけど、
何でわたしと結婚するのはイヤなの?」
「イヤじゃないけど……まだいいじゃん」
駿はわたしの顔から完全に視線をそらし、
つぶやくように答えた。

「じゃあ、いつ頃ならいいの?」
「35歳ぐらい……かな」
答える駿は、やはりわたしから視線をそらし、
拗ねたような顔でうつむいている。
その姿は同い年とは思えないくらい、幼く見える。

「わたしが相手だとしたら、その年齢だと、
なかなか子どもできないかもしれないんだよ」
「え、子ども、ほしいの?
おれはそんなこと、考えたこともないけど」
駿はぽかんとした表情で、顔を上げた。
わたしは困ったし、悲しくなった。
ふたりの結婚観がこんなに噛み合ってないとは、
ちょっと絶望的かも。
「わたし、どうしたらいいんだろう」
「そんなこと言われても……わからないよ」
ふたりの間に、気まずい沈黙が流れた
そしてわたしが「じゃあ、別れるしかないか」と
つぶやいたけど、駿からの返事はなかった。
それからふたり黙々とコース料理の残りを食べた。

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