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恋の行方-11

「ああ。御園も今度こそちゃんと、
本当に好きな人と向き合った方がいいと思うよ」

鷺沢さんは少しも嫌味のない、
誠実さのこもった口調で言う。
御園さんは無言で大きくうなづくと、
コツコツと乾いた靴音をたてて、
資料室を出て行った。
そして、わたしは鷺沢さんとふたり、
資料室に残された。

「いろいろ聞かされて驚いたと思うけど……」
「いえ、わたしが勝手に立ち聞きしただけで。
すみません」
「いいよ。こんな話、社内でする方が悪い」
鷺沢さんはうつむいたまま、自嘲気味に笑う。

「それでね。今でも気持ちが変わってなければ、
ぼくと付き合ってくれない?」

顔を上げた鷺沢さんが、わたしをまっすぐに見た。
素直にうれしかった。
でもそれと同じくらい、怖くもあった。
御園さんみたいなきれいな人と、
あんなに強い結びつきがあって、
その後、わたしで満足できるのかな?

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