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大人の店・大人の夢


火曜の夜、わたしはショールを胸元でおさえ、
待ち合わせ場所に急いだ。
駅の改札では先に来ていた慎吾さんが、
こちらに気づくとニコッと笑って、近づいて来た。
「少しだけ歩くけど、いいかな」
と言われた割に、10分も歩かずについたカフェは、
星のステンドグラスが入ったドアが入口の、
中は飴色の古びた木の腰壁がしぶい、
大人のムードあるお店だった。

メニューは寒いから、キノコのグラタンプレートに。
慎吾さんは、グリルチキンのプレートを頼んだ。
飲み物はオススメのワインのカクテル、スプリッツアで。
慎吾さんはメニューを注文した後、
首をゆっくりと巡らせて、店内を見渡していた。
つられてわたしも、お店の中を見る。
低い位置にあるスタンドの灯りが壁天井に、
美しい幾何学模様の影をいくつも作ってきれいだった。

「梨緒ちゃん、これ大きな声では言えないけれど」
そういって慎吾さんはテーブル越しに、
わたしに顔を近づけるよう促した。

「ぼく、自分がオーナーのカフェを持ちたいんだ。
その時はこういう落ち着いた雰囲気にしたい」
慎吾さんの夢が、わたしの耳元を甘くくすぐった。

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