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こんなメールでも


極めて事務的な、仕事の相手に出すような文章。
しかもわたしの忘れ物を一方的に送り返すという内容。
なのに、メールが来ただけで、とてもうれしいなんて。
何度か深呼吸をした後、メールを打つ。

「了解しました。送ってください。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いします」
送ってからわたしは、泣きそうになった。
圭司がどこへ引越すのか。
知りたくてしかたないのに、でも書けなかった。
悔しくて、悲しくて、泣きそうで、でも泣けない。
ただ今朝の薄曇りの空のように、
曖昧で鈍い痛みが胸に広がる。
そこへスマートフォンがまた、リンッと音をたてた。

「おっはよー、慎吾です。今日はこれから、
天気よくなるみたいだけど、ぼくは仕事です。
あー、野外でバーベキューとかしたい!」

文面を見て、思わずクスッと笑ってしまった。
「おはよう! 梨緒です。
わたしも慎吾さんと野外バーベキューしたい。
で、おいしいものをたくさん作ってもらいたい。
でも残念。今日は、お仕事がんばってくださいね」

送った後、辛い気持ちが嘘のように晴れた。
わたしはさらに、慎吾さんが好きになった気がした。

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