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こんな気持ちはひさしぶり


「えーと、ちょっと待ってね」
慎吾さんに接近されると、なぜかすごく恥ずかしい。
わたしはまごつきながらスマートフォンを取り出した。
「名刺にアドレスあるから、空メールくれる?
……よし、ありがとう!
じゃあ、ぼくのプライベートのアドレスから送るね」

少し間があって、スマートフォンがリンと鳴る。
その時、慎吾さんとわたしの間に目に見えない、
けれど確かな絆みたいなものが、結ばれたように思えた。

「それではみなさま、お疲れさまでした」
見計らったように、お店に街コンスタッフの声が響く。
店を出ると、一日中座り詰めだったわたしたちは、
夕空の下で思い思いに腕を伸ばしながら歩いた。
そして、この町の住人の真穂と光一さんは残り、
わたしは慎吾さんと駅へ向かう。
駅の階段を並んで上がると、
彼をずっと前から知っているように錯覚した。

「メール送るから、返事ちょうだいね」
「ええ。今度、慎吾さんのいる時お店に行きます」
「きっとだよ」
そうしてわたしたちは、上りと下りのホームに別れた。
来た電車に乗ると、窓から手を降る慎吾さんの姿が。
こんなに幸せな気持ちは、ひさしぶりかもしれない。

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