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恋の行方-9

「誰、誰かそこにいるの!?」

御園さんのおびえた声がこちらに向けられる。
そしてパタパタと男性の靴音が近づいてくる。
思わずギュッと目をつむり、再び目を開けると、
鷺沢さんが怖い顔でわたしを見下ろしていた。

「村山さん、どうして。いつからそこにいたの?」
「あの……ちょっとサンプルを取りに。
来たのは、その、ついさっきです」

ああ、もうダメ。最低。これでもう鷺沢さんとは
「当たり障りなく笑って話せる日」すら来ない。

「あのさ……どのあたりから聞いていた?」
鷺沢さんはさっきと変わらず、
怖い顔で見下ろしながら、わたしに聞く。

「あの『無茶を言われても、聞けない』的な、
そんな感じのところからです……すみません」

それを聞くと鷺沢さんは、大きくため息をついた。
「やっぱり聞いちゃったんだ、ぼくたちのこと」

鷺沢さんはゆっくりとうつむくと、
悲しむような怒るような、複雑な表情をした。

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