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恋の行方-5

「もう少し、色のバリエーションあった方がいいな」
矢島さんはこの店の集計表と、
チェーン店全体の集計表を見比べながら、
「さらなる向上へ」の指示票に記入をして行く。

うーん、色のバリエーション、ね。
どうしても人気のない色は売れ残るから、
現場としては冒険したくはないんだけれど。
なのに「そうですね」とその場限りの相づちを打ち、
矢島さんが記入する指示票を覗き込む。

矢島さん、異性としてはかなり好みだけれど。
いっしょにいた時、おたがい好みや物の見方が、
ぜんぜん違うことに気がついてしまった。
特に仕事の話になると、価値観が正反対。
そのためか矢島さんは仕事の話になると、
急に怒ったり、イライラし始める時があった。
わたしはそんな気の短さも引っかかって、
この人とは、それ以上の関係に進めなかった。
でも、それはきっと矢島さんも同じことだろう。
今はおたがい上司と部下として、
当たり障りのないように、気づかう関係になった。

「それからバッグの売り上げだけど……」
矢島さんはわたしに集計表を見せようと身を乗り出し、
そこで手の甲が、おたがいに触れ合った。

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