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恋の行方-2

だけど忘れようにも、開店当初から店長だった、
鷺沢さんの痕跡は店のあちこちにある。
バックヤードに貼られたメモはほとんど彼の字だし、
レジの脇に置かれた備品の配置も、
彼のクセに合わせた定位置になっている。
わたしも開店とともにいっしょに配属され、
力を合わせてがんばってきた。

鷺沢さんの、本当は少し猫背気味なのに、
気合で無理にシャンとさせていた背中。
冬になると乾燥して、少しかさつく頬。
でも、ややつり上がった大きな目と、
意志の強そうな口元は整っていて、

 

 

 

 

 

背の高いことと合わせて、
外見はかなり、いい感じの人だったと思う。

わたしは「好き」という言葉を飲み込んだまま、
そして飲み込むたびその思いを膨らませながら、
店にいる時はいつも視界の隅に、
鷺沢さんの姿をつかまえていた。

だけどこの秋、彼が昇格して、
統括マネージャーとして店を去ることが決まると、
自分の気持ちを飲み込みきれなくなった。
そして送別会の帰りに、思い切って鷺沢さんに
「好きです」と告げてしまった。

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