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ひとりにしないで-12

「あ、そうだったっけ。ごめんなさいっ」
そんな話をしてる間に、
引っ越し屋さんは嵐のように去って行った。
わたしはふたりに、ペットボトルのお茶を渡すと、
さっそく手伝いをお願いした。

和彦くんは、あらかじめ通販で買っておいた家具を、
まるで映像の早回しのように組み立ててくれる。
「すごく助かった。ありがとう!」

夜は3人で、お好み焼きを作ってビールで乾杯した。
これからは家事もすべて自分でしなければならないし、
通勤も遠くなる。
でもこの、自分だけの住まいがある感覚は、
ひどく新鮮で、心地よかった。
体も心もウソみたいに軽くなった気がする。

「ねえ和彦くん、メールアドレス教えてくれる?」
「実は以前に、一度交換してるんだけど……」
「え、うそ!」
確認してみると、スマホにはちゃんと
「坂井和彦」のメールアドレスと番号が入っていた。
「じゃあ、これからもよろしくお願いします!」

きっとこれから、人生が新しく開けていく。
なんの根拠もないけれど、そう信じられた。

(おわり)

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