お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

ひとりにしないで-10

母も父も、話したくないなら話さなくてもいいと思う。
だけどやっぱり、一つ屋根の下で暮らしていれば、
それなりに、伝えなければならないことが出てくる。
そこでふたりとも、わたしを使うわけだ。

覚えている。始まったのは高校を卒業した春、
理由は……ううん、やめよう。
わたし自身、子どもで分からなかったことも多いし、
親といえども男と女、外からは探れないこともある。

「母も父も、わたしは好きなんだけどな……」
でもやっぱり、ここにいるとあまりに息苦しいし、
恋愛とか結婚に、いいイメージは持てそうもない。

「やっぱり可穂の言うとおり、この家は出よう」

それから一カ月後。
引越し屋さんの軽トラックを見送ったわたしは、
父母それぞれに「お世話になりました」
と挨拶して家を出た。

母と父を居間に呼び「家を出たい」と言った時、
ふたりともがギョッとした顔で
「どうしてよ」とか「まだ早い」とは言ったけれど。
わたしが「こんな生活、わたしがもう限界だから」
と言うと、もう引き止めようとはしなかった。

お役立ち情報[PR]