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ひとりにしないで-5

こうして今でも彼とは、
二股をかけられたままでの付き合いが続いてる。
でも正剛はわたしといる時、
ほとんど彼女さんの存在を匂わせることはない。
というか、最初のホームパーティの時ですら、
誰かと付き合っている雰囲気が、まるでなかった。
……それは、わたしが鈍いだけかもしれないけれど。

バーを出てしばらく歩いても、
正剛はからめた指を離そうとはしない。
それは何となく「愛おしい」からでもなく、
ましてや性的なニュアンスでもなく、
どことなく、迷子を怖がる小さな子が、
お母さんの手を離したがらないのに似ている気がした。

正剛はたぶん電車の混雑を避けるため、
花火大会の会場には直接はつながらない、
地下鉄の駅を目指しているようだった。
どうしたんだろう。
いつもよくしゃべる正剛が、今は口数が少ない。
そして駅の入り口に着くと立ち止まり、
わたしの目を見て言った。

「実は彼女との婚約が正式に決まった。
だからもう会えない。
ぼくのためにもだけど、涼香ちゃんのためにも」

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