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ひとりにしないで-4

ふう……と、ため息をつき、
「えーっ、彼女いるのぉ!」
その時のがっかり感は言葉ではなかなか言い表せない。
正剛は、わたしに本当のことを隠していて、
わたしより好きな女性がいて
「もう会えない」という意味のことを言っている。

いろいろなことを許し難いと思ったけれど、
でも、中でも一番ガマンがならなかったのは
「もう会えない」ことだった。
わたしは頭を下げ続けている正剛に向かって、
しばらく口を尖らせたまま、黙っていた。
「……別にいいよ、彼女がいたって構わないよ」

両手を合わせていた正剛が、ゆっくりと頭をあげる。
上目遣いでこちらを見る表情には、
小学生のような愛嬌があって、本当に小憎らしい。

「え……本当にいいの?」
「同じこと、何度も言わせないで」
話を聞くと彼女さんは某製薬会社のお嬢様、
仕事がらみ親がらみで、婚約したも同然だという。

「いいコだけど、育ちが違いすぎるんだよね」
ネオンと強い街灯の光で、
ひとかけらの星も見えない夜空を見上げ、
正剛は苦笑いを浮かべながらため息をつく。

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