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59話 思いがけない告白


「うん。八坂さんと同じ境遇になったら、
誰でもすごく悩むだろうね。苦しかったろう。
さ、涙を拭いて。早い時期に話してくれて、ありがとう」
所長はとても温かい言葉をくれて、
わたしはなおさら、涙が止まらなくなってしまった。
「こちらこそ、ありがとうございます」
「ただ臼井には、八坂さんからお礼を言って謝っておいて。
彼はとても丁寧に、あなたを育ててくれたから」
「はい、承知しました」
そうだ。臼井さんには本当にお世話になった。
とても心苦しいし、いくら怒られても文句は言えない。
わたしは所長に許可をいただいて、
昼休みが終わって外から戻ってきた臼井さんを、
打ち合わせと称して、コーヒーショップへ連れ出した。

「臼井さん、実はわたし来年の春に結婚して、
相手の転勤に合わせて、中国で暮らすことになったんです」
「中国って、中国地方じゃなくて、外国の?」
「はい。なので今年いっぱいで退職させていただきます。
すごく急だし、時間も手もすごくかけてもらったのに、
本当に申し訳ありません」
臼井さんは少しの間キョトンとしていたが、
やがて口元に、さみしそうな笑みを浮かべた。
「そっか……そういう理由じゃ、仕方ないよね。
でも正直にいうと、八坂さんのことは、
本気でいいなって思ってたから、すごく残念」
八坂美羽(27歳)
中堅の不動産会社の営業事務。明るくやさしい性格だが、押しが弱い。
坂口一生(29歳)
大手アパレル店の店長。明るく元気で頭の回転が早く、よくしゃべるタイプ。
臼井数馬(29歳)
美羽の不動産会社の先輩で営業職。落ち着いてしっかりとした性格。
安藤朋美(27歳)
美羽の友人。明るくさばけていて、行動力がある。美羽の会社の同期。

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