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55話 彼の決心


「一生、中国での生活のこと、
ちゃんと考えていてくれたんだ。ありがとう」
わたしは思った通りの言葉を口にした。

「だって、ふたりのことだし、おれだって不安だ。
ただ、知っている人から聞いてみると
……会社に出勤するおれはまだいいけど、
家に残される美羽はたいへんかもしれない。
買い物も現地の人と交渉が必要な場合もあるし、
日本人同士の関係も人が少ないから密度が濃くて、
うまくいけばいいけど、そうでないと……ね」

一生が言葉を切った時、わたしはすぐに、
あいづちが打てなかった。
今とはまるっきり生活が変わってしまう、
そのことにただ、目を丸くするしかなかった。

「だからね、美羽がもしもムリだと思うなら、
ぼくとは……結婚はしてもらいたいんだけど、
そのあと美羽だけ日本に残ってもいいと思ってる」
「でも、そんなの……いいの?」
「だってぼくの都合だけで、
美羽の今の生活のすべてを奪ったりできない。
たしかにいっしょには行きたいけれど、
美羽にあまりに重い負担がかかるようなら、
それはやっぱり、考えてしまうよ」
八坂美羽(27歳)
中堅の不動産会社の営業事務。明るくやさしい性格だが、押しが弱い。
坂口一生(29歳)
大手アパレル店の店長。明るく元気で頭の回転が早く、よくしゃべるタイプ。
臼井数馬(29歳)
美羽の不動産会社の先輩で営業職。落ち着いてしっかりとした性格。
安藤朋美(27歳)
美羽の友人。明るくさばけていて、行動力がある。美羽の会社の同期。

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