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40話 別れの理由


「いやあ、女々しいよね。彼女にふられて、
仕事の場でナーバスになるなんて。
これは悪い営業マンの例なんで、マネしないでね」
そう行って無理に笑顔を作る臼井さんは、
痛々しくはあったけれど、誠実そうだった。
それより心のどこかで……いや、全面的に
「やった!」と思うわたしの方が人としてどうかと思う。

しかし、そんな気持ちがカケラも顔に出ないよう、
よくよく注意をしながら、聞いてみる。
「何で……なんでしょうね?」
「うん。原因ははっきりしてる。
おたがいそろそろ結婚って話は出てたんだけど、
彼女もご両親も、ぼくを婿養子にして、
家業をついで欲しかったんだ。
でもぼくは、この仕事を辞めたくなくて」

「むずかしいですね。ご結婚の話まで出たのに」
「ね。でも仕事の契約でもそうだけれど、
直前にダメになることって、案外多いよ。
だけど無理な契約はちゃんと不成立になった方がいい。
無理を重ねて後から揉めると、収拾がたいへんだから」

臼井さんの話に、当然、昨日のプロポーズを思い出し、
ギクリとしてしまう。
直前にダメになることって、案外多いんだ……。
八坂美羽(27歳)
中堅の不動産会社の営業事務。明るくやさしい性格だが、押しが弱い。
坂口一生(29歳)
大手アパレル店の店長。明るく元気で頭の回転が早く、よくしゃべるタイプ。
臼井数馬(29歳)
美羽の不動産会社の先輩で営業職。落ち着いてしっかりとした性格。
安藤朋美(27歳)
美羽の友人。明るくさばけていて、行動力がある。美羽の会社の同期。

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