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39話 今はもうひとり


一度気がつくと、どうしてもずっと気になってしまう。
ため息をつく臼井さんもいいなとは思うけれど、
やはり元気にハツラツとしていてほしい。
そして今日も臼井さんから営業の手ほどきを受けたい。
週始めの木曜日で忙しかったし、
将来を考えるとなかなか集中できなかったけれど、
就業時間の一時間前には、すべての業務を終わらせた。

「じゃあ、八坂さんは臼井とチラシの配布に行って」
所長の命を受けて、またわたしたちは、
指定地域のマンションにチラシの配布に行く。
でもその日、臼井さんは普段より口数が少ない気がした。
どことなく寂し気だし、ほんの少しだけれど、
普段より集中力を欠いているようにも見えた。
そして当人もどこかで自覚があるらしく、
営業所へ戻った後「いっしょに食事していかない?」
と、帰り際に誘われた。

駅のそばの気さくなチャイニーズレストラン。
臼井さんは笑顔を作りながらも、
何となくぎこちなく、憂鬱そうだった。
わたしは思い切って、聞いてみた。
「あの……何かありました?」
「あ、やっぱり、そんな風に見えちゃう?」
臼井さんは一旦目を伏せ、苦笑しながら言う。
「彼女に、ふられたんだ」
八坂美羽(27歳)
中堅の不動産会社の営業事務。明るくやさしい性格だが、押しが弱い。
坂口一生(29歳)
大手アパレル店の店長。明るく元気で頭の回転が早く、よくしゃべるタイプ。
臼井数馬(29歳)
美羽の不動産会社の先輩で営業職。落ち着いてしっかりとした性格。
安藤朋美(27歳)
美羽の友人。明るくさばけていて、行動力がある。美羽の会社の同期。

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