お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

30話 ともにはばたく


「わかりました。八坂さん、いっしょにがんばろうね」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」
こうして臼井さんは所長に、
これから営業職へ転向するわたしの教育係となった。
彼女がいるらしいことは、知ってしまったけれど、
それで今までより長い時間、もしかしたらふたりきりで、
いっしょにいられることは、やはりうれしい。

営業職に転向することにしてよかった、
と感じてしまう自分は、ゲンキンすぎるのかな。
そうしてその日、事務の仕事が定時で終わった後、
所長からさっそく指示が出た。
「じゃあ八坂さん、臼井がチラシを撒きにいくから、
いっしょに行ってくれる?」
わたしは元気に「はい!」と返事をして、
臼井さんと、指定のマンションにチラシを撒きにいった。
うちの会社の新人の営業職はまず、
マンションに「売りませんか・買いませんか」
と書かれたチラシを撒きに行くことから始まる。

「ここのマンションは、意外に年配の方が多いんだ。
坂の上にあって、年寄りには外出しづらいから、
それで買い替えを考える人もたくさんいるよ」

そう、ていねいに教えてくれる臼井さんのきれいな横顔を、
わたしは少しうっとりとして見つめていた。
八坂美羽(27歳)
中堅の不動産会社の営業事務。明るくやさしい性格だが、押しが弱い。
坂口一生(29歳)
大手アパレル店の店長。明るく元気で頭の回転が早く、よくしゃべるタイプ。
臼井数馬(29歳)
美羽の不動産会社の先輩で営業職。落ち着いてしっかりとした性格。
安藤朋美(27歳)
美羽の友人。明るくさばけていて、行動力がある。美羽の会社の同期。

お役立ち情報[PR]