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21話 不安は雲のように


「うん。正直、売買の営業職へ異動になったら、
今よりぜんぜん忙しくなるし、賃貸だとしても、
通勤時間が倍近くなるから、時間はなくなるんだ」

一生は、わたしの独り言のような説明に、
どこかうわの空で「うーん」と答えただけだった。
ああ……そうなんだ。
わたしは今の今まで、一生とはこのままずっと、
いっしょの人生を歩んでいくものだと思ってた。
でもそれは、どうやら自分勝手な勘違いだったみたい。
わたしと一生は、今たまたまいっしょにいるだけで、
この先の人生の行き先は、
別々の方向に向かう可能性も高いのかも……。

だけど、そうだよね。
アパレル業界にいる一生のまわりには、
仕事柄いくらでも、キレイで若い女性が働いている。
わたしの代わりなんて、いくらでもいるだろう。
いつか乗り換えられる日が来ても、
それは仕方のないこと、なのかもしれない。

夕焼けが濃いオレンジ色に空を染める頃、
帰るわたしは、一生に駅まで送ってもらった。
「じゃあ、またメールするね」
こんな風に付き合いが続けられるのも、あとどのくらい?
なんて思いながら、わたしはムリに笑顔で手をふった。
八坂美羽(27歳)
中堅の不動産会社の営業事務。明るくやさしい性格だが、押しが弱い。
坂口一生(29歳)
大手アパレル店の店長。明るく元気で頭の回転が早く、よくしゃべるタイプ。
臼井数馬(29歳)
美羽の不動産会社の先輩で営業職。落ち着いてしっかりとした性格。
安藤朋美(27歳)
美羽の友人。明るくさばけていて、行動力がある。美羽の会社の同期。

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