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みんなの恋人-7

レジでお店のウエイトレスにしなだれかかられ、
ニヤニヤしている和幸の姿を、
わたしはじっと見つめてしまう。
本当は目をそらしたいのだけれど、
どうしても、それができない。
早く誰か、他のお客さんがレジへ来ればいいのに。
そしたらさすがに、ふたりとも離れるはず。

でも、なんとなく視線を感じたのか、
その前に和幸が、くるりとこちらを向いた。
彼は一瞬、あきらかに「ヤバい!」という顔をして、
次の瞬間、笑顔で女の子にテーブルを指差し、
その場を離れさせた。
わたしは、どんなリアクションをとればいいのか、
まったく思いつかず、呆然としていたら
「お待たせしました」と別のウエイトレスが、
ランチセットを持ってわたしと和幸の間に入った。

そうしてウエイトレスが去って目をあげると、
和幸はもう、そこにはいない。
レジには違う男性の店員が立っていて、
3人の高齢の女性客が「いいわよ、わたしが払うから」
の押し問答が終わるのを、辛抱強く待っていた。
ランチセットの味なんて、もう何もわからなかった。
でもとにかく、半分は食べて店を出る。
和幸はそれきり、姿を見せなかった。

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