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みんなの恋人-1

「今の季節、どうしてもアレは見ておきたいよね」
和幸はそう言って車を発進させた。
わたしもうなづいて、シートベルトをしめる。

車はよく知った道をしばらく走り山道に入る。
カーブを描いて山道を登るたびに、
麓の方は濃い緑の葉をしていた木々も、
目指す展望台が近くなると、瑞々しい新緑にかわる。
和幸と付き合い始めた高校3年の夏から、
この山道を登るのは、何度目だろう。

 

 

 

 

数え切れないくらい、通った道だ。
やがて車は、展望台の駐車場へ入る。

ここもよく、知っている場所だ。
「ちょっと寄って、アレも見て行こう」
「うん!」
わたしたちは展望台には目もくれず、
一般の人が崖から落ちないよう作られた、
緑色の金網でできたフェンスへと向かう。
このフェンスには、まるで何かの実のように、
びっしりと南京錠が取り付けられている。
わたしたちも、付き合い始めた高校3年の夏、
ふたりでここに南京錠を取り付けた。

「あった、今年もまだある。よかった!」

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