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42話 言い訳できない


ベッドから出た菱山さんはスウェットをはき、
「コーヒー飲む?」と訊いてきた。
スーツ姿じゃない菱山さんと、メイクをしていない素顔の私。
2人ともオフィスとはまったく違う。
これまでは、ときどき菱山さんにときめいても、
仕事上の関係だからと心に言い訳して、後ろめたさを消していた。
だけど、もう、そんな言い訳はできない。
こうして2人でいる時間が長く続けば続くほど、
誠への裏切りが大きくなっていく気がする。

私は「いえ、帰ります」と言って、急いで服を着た。
玄関へ向かう私を、菱山さんが追いかけてきた。
「ちょっと待って。送っていくよ」
「いいです、ここで。1人で帰れますから」
「じゃあ、下まで」
「いいんです、本当に。ここで失礼します」
逃げるようにドアをしめ、駆け足でエレベーターへ向かった。

1人になると、少しだけ罪悪感が薄れた。
そして、冷静さを取り戻すにつれて、別のことが気になってきた。
菱山さんが昨夜、私にキスをしたのは、酔っていたから?
私が泣いていたから、同情して、なんとなく?
それとも、本当に私を好きだから?
もしそうだとしたら、これからのことをどう考えているんだろう?
この先、私たちはただの上司と部下に戻れるのかな?
芦田さつき(28)
輸入販売会社の事務員から新規事業のアシスタントに。
春野誠(30)
さつきの彼氏。公務員。趣味は料理とスイーツの食べ歩き。
菱山謙司(30)
コンサルタントとして派遣され、新規事業立ち上げの責任者に。
川口結実(26)
さつきの後輩。かわいくてモテるが、なかなか恋人ができない。
相原香里奈(22)
スイーツ好き。誠と仲がいい。

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