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32話 中途半端な気持ち


誠のどこが好きかと尋ねられて、真っ先に浮かんだのは、
「優しいところ」だった。
それから、「料理上手なとこ」
そこまで答えて、次が浮かばなくなった。
「それだけ?」
それだけ、ではない気がする。
「一緒にいて落ち着くとこ」と続けて言うと、
「僕の答えと同じだ」と誠が嬉しそうに笑った。

「だけど、誠が料理をしてくれなくても、
やっぱり私は誠のことを好きな気がする」
思ったままにつぶやいた。
それを聞いて、誠がぎゅっと私を抱きしめてきた。
誠は今のつぶやきを愛情だと受け止めたみたいだけど、
申し訳ないことに、私の頭の中はそうじゃなかった。
元彼は料理なんてしなかったけど、それでも当時は大好きだった。
だから、誠が料理をしてくれるから好きってわけじゃない、
その事実を確認しただけ。
それに優しいのは誠だけじゃない。元彼も、友達も、みんな優しい。

誠のことは好きだけど、誠じゃなきゃダメってわけではないのかも。
じゃなきゃ、菱山さんにときめいたりしないはず。
誠もきっと、私じゃなきゃダメ、とまでは思ってくれていない。
ぬくもりの中で抱きしめられているのに、
中途半端な気持ちどうしだと思うと、寂しくてたまらなくなった。
芦田さつき(28)
輸入販売会社の事務員から新規事業のアシスタントに。
春野誠(30)
さつきの彼氏。公務員。趣味は料理とスイーツの食べ歩き。
菱山謙司(30)
コンサルタントとして派遣され、新規事業立ち上げの責任者に。
川口結実(26)
さつきの後輩。かわいくてモテるが、なかなか恋人ができない。
相原香里奈(22)
スイーツ好き。誠と仲がいい。

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