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8話 カップをくれたのは


私は見たことのない花柄のカップを手に取った。
「どうしたの? このカップ」
「もらった」
「誰から?」
「話したことあるよね。スイーツの食べ歩きをたまにしてるコ。
前に、数時間並ばなきゃ買えないスイーツを
おすそ分けしたことがあって、そのお礼だって」
やっぱり女のコにもらったんだ……。
正直、気分はよくない。
でも、誠があっけらかんと悪びれない顔をしているので
責める気にはなれず、「ふーん」と平気なフリをした。
そして、あえてそのカップを今日のカップに選んだ。

もし、そのコが誠のことを好きなら、自分があげたカップを
他のオンナが使っているなんて悔しいだろう。
ひねくれてるかもしれないけど、こんな小さな復讐をすることで、
この胸のモヤモヤを吹き飛ばしたかった。
私はムリに笑顔をつくり、その赤い花柄のカップで、
誠が淹れてくれた紅茶を飲んだ。

翌朝、出社すると、デスクの上に紅茶が山積みにされていた。
驚く私に、菱山さんがさわやかな笑顔で言った。
「昨日、紅茶専門店と百貨店を回って買い集めたんだ。
午前中は試飲会にしよう」
その笑顔を見たとたん、なぜか誠へのモヤモヤがパッと晴れた。
芦田さつき(28)
輸入販売会社の事務員から新規事業のアシスタントに。
春野誠(30)
さつきの彼氏。公務員。趣味は料理とスイーツの食べ歩き。
菱山謙司(30)
コンサルタントとして派遣され、新規事業立ち上げの責任者に。
川口結実(26)
さつきの後輩。かわいくてモテるが、なかなか恋人ができない。
相原香里奈(22)
スイーツ好き。誠と仲がいい。

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