お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

6話 優しさと罪悪感


菱山さんから最初に頼まれた仕事は、既存のネットショップで
人気の紅茶をリストアップし、注文することだった。
「いろんな紅茶があるんだね。
これまでは数字を見るのが仕事だったんだけど、
これからはそれだけじゃすまなそうだ」
そう言いながら、菱山さんの顔はどこか嬉しそう。
その表情を見ていたら、さっきまでの不安が軽くなるのを感じた。
先が見えないことには変わりがないんだけど、
この人ならいい方向へ導いてくれそうな気がする。

その夜、仕事が終わってから、誠の部屋へ行った。
『何時でもいいから必ず来て』というメールをもらったからだ。
私が着くとすぐに、誠はエプロンをつけて料理を始めた。
その横で、私は誠に話しかけた。
「『必ず来て』なんて、どうしたの? 昨日会ったばかりなのに」
誠はフライパンにニンニクを入れ、
ジュワッという音を確かめてから、私をふり返った。
「さっちゃんのことが心配だったから。
会社、大変だったんでしょ?」

ちゃんと、私のことを考えてくれていたんだ。
それなのに、朝は誠のメールにイラついたりして……。
そのうえ、一瞬でも菱山さんにときめいたりして……罪悪感。
あれは新しい仕事への緊張感を、ときめきとカン違いしたのかも
——そう思いたかった。
芦田さつき(28)
輸入販売会社の事務員から新規事業のアシスタントに。
春野誠(30)
さつきの彼氏。公務員。趣味は料理とスイーツの食べ歩き。
菱山謙司(30)
コンサルタントとして派遣され、新規事業立ち上げの責任者に。
川口結実(26)
さつきの後輩。かわいくてモテるが、なかなか恋人ができない。
相原香里奈(22)
スイーツ好き。誠と仲がいい。

お役立ち情報[PR]