お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

4話 見知らぬ視線


落ち着かない気持ちのまま、会社に着いた。
私が勤める会社は、シャンパンやワインの輸入をしている。
得意先は決まっているので、週明け恒例の早朝会議はいつも
自分の席で社長の話や部長の売上報告を聞くだけの単調なものだ。

ところが、今日は様子が違う。
社長の後ろに、見たことのない2人の男性が立っている。
社長は緊張した声で、近年の不況や若者のアルコール離れによる
会社の業績低迷を説明したあと、こう言った。
「当社は生き残りをかけて、
ベンチャーキャピタルからの出資を受けることを決定しました」
社員の間にざわざわと不安げな声が広がる。
後ろから「誰かリストラされるのか?」とつぶやく声が聞こえた。
誠へのもやもやなんて吹き飛ぶくらい、大きな不安が押し寄せる。
こんなに不景気なのに、もしも仕事がなくなったら……。

みんなの不安を察したかのように、社長は語気を強めて言った。
「1人もリストラしないという条件で出資を受け入れました。
そのかわり売上げを伸ばすために、日本産ワインや紅茶を取り扱う
新規部門を立ち上げます」
リストラしないと聞いて、社員間の空気がほっと緩んだ。
そして社長は、ベンチャーキャピタルから出向してきた
2名のコンサルタントを紹介した。
若い方のコンサルタントが「菱山謙司です」と挨拶したとき、
彼の視線が私に向けられていることに気づいた。
芦田さつき(28)
輸入販売会社の事務員から新規事業のアシスタントに。
春野誠(30)
さつきの彼氏。公務員。趣味は料理とスイーツの食べ歩き。
菱山謙司(30)
コンサルタントとして派遣され、新規事業立ち上げの責任者に。
川口結実(26)
さつきの後輩。かわいくてモテるが、なかなか恋人ができない。
相原香里奈(22)
スイーツ好き。誠と仲がいい。

お役立ち情報[PR]