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2話 私だって怖い


誠がつくってくれた朝食を食べ終わって、
のんびりとカフェオレを飲んでいると、突然、大きな悲鳴が響いた。
「クモ! クモ! さっちゃん、助けて!」
見ると、テーブルの下に10円玉くらいの大きさのクモがいる。
私はクモよりも、青ざめて震える誠を見て、驚いた。

しかも誠は「怖いから、さっちゃん、退治して」と言い出した。
なんで私が?
私だって怖いのに。
でも、誠の懇願する目に負けて、しぶしぶティッシュを手にした。
甘えん坊の彼女がいる男の人って、こんな気分なのかな。

覚悟を決めてクモを退治しようとしたとき、また誠が叫んだ。
「殺さないで! かわいそうだし、殺したら天国にいけなくなるよ」

なんて優しい人なの……とは思わずに、
芥川の小説か、と力が抜けた。
殺さずにクモを退治するのは、殺すより難しい。
悪戦苦闘して、無事にクモを窓の外に逃がしたあと、
あまりの頼りなさに、大きなため息が出た。
誠への気持ちが少し冷めてきたような気がする。

誠と付き合って1年とちょっと。
大好きな彼のはずなのに、最近、
「本当に、この人でいいのかな?」と思うことが多い。
芦田さつき(28)
輸入販売会社の事務員から新規事業のアシスタントに。
春野誠(30)
さつきの彼氏。公務員。趣味は料理とスイーツの食べ歩き。
菱山謙司(30)
コンサルタントとして派遣され、新規事業立ち上げの責任者に。
川口結実(26)
さつきの後輩。かわいくてモテるが、なかなか恋人ができない。
相原香里奈(22)
スイーツ好き。誠と仲がいい。

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