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27歳の初恋-12

日曜の陶芸教室は、意外に同じ年ぐらいの人が多い。
でも体格のいい八角さんは、すぐに目に飛び込んでくる。
「こんにちは」
「こんにちは。こっちへ来てもらえます?」

そこでは作業台の上に、焼きあがった作品が、
所狭しと並んでいた。
コーヒーカップや湯のみ、カフェオレボール。
どの器も同じように見えて、作者の人柄がしのばれる。

「これなんです」
それはとても濃いブルー、瑠璃色のコーヒーカップ。

「いいですね。ずっと使い続けたくなる器ですね」
「よかったらあげます」
「はい?」
わたしはぽかんとした表情で八角さんを見上げた。

「その……もしよかったら、そのカップと同じように、
ぼくともずっと一緒にいてくれませんか」
「あ……はい」

日曜の陶芸教室は意外に人が多く、みんなそれぞれ、
がやがやと自分の作った器の話で忙しい。
そんな中、わたしと八角さんは、次の言葉が出ずに、
おたがいに向き合って、照れて小さく笑うばかりだった。

(おわり)

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