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恋の思い出、片づけます-1

「あーあ、疲れた」
マンションのエントランスに入りほっとすると、
オバサンくさい言葉が、つい口をつく。

それは駅前から長々と続く、
ごくごくゆるい坂のせいだとわかっているから、
なおさら切ない。

だってこの部屋を決めた7年前は、
その坂にまったく気づかなかったから。
坂だけじゃない。
最近はいろいろなことに疲れを感じる気がして、
金曜日も、予定を入れるのをためらうことが多い。
今日もそうだ。

 

 

 

 


ため息をつきながら郵便受けをそっとあける。
するとダイレクトメールにまぎれて、
表書きに「朝井由美子様」と大きく印字された、
写真入りのはがきが一枚、鮮やかに目をひいた。
「結婚しました……って、えっ、結婚したんだ!」

そこには、2年前まで付き合っていた彼、
まるでタキシードが似合っていない悟と、
けっして美人ではないが、
イキイキした表情の女性がウエディングドレス姿で
2人でニコニコ笑って写っていた。

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