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59話 発展途上の恋愛


浩之さんは私の顔を見て、冷静な声で言った。
「オレの言い方がきついから、詩織も、まわりのやつらも
嫌な思いをしてるって話だったよな」
私は小さくうなずいた。
「……確かに、そういうとこあるのかもな」
浩之さんがあっさり認めたので、あれ? と力が抜けた。

「前の仕事はさ、客に『こういういい商品が入りました』って
こっちの売りをアピールすればいい感じだったんだ。
だけど、今のIT系の場合は、客が本当に望んでいることを
一緒に探すのが大事ってとこがあって。
相手の本当の気持ちにたどりつけてないなあ、
俺が独断的な言い方してるのかもな、って思ってたとこなんだ」

それは、言い方の問題なのかな?
言い方を変えてくれたら、私たちはうまくいくの?
幸せな付き合い方ができるの?
——ちょっと違う気がする。

「オレはさ、発展途上人間なんだよ。
その分、少しずつ努力していきたいと思ってる。
恋愛だって、お互い少しずつ歩み寄って、
成長しあっていくもんなんじゃないの?
最初から何もかもぴったり合う人間なんているわけないだろ。
そういう努力をしないで別れてたら、誰とも幸せになれないと思う」
浩之さんの言葉が胸に突き刺さった。
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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