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57話 ウワサの真相


浩之さんの顔がカッと赤く染まった。
私は身構えた。ああ、やっぱりまた怒るんだろうな。
短気で、わがままで、自己中だっていう評価が、
浩之さんの本質なのかもしれない。
「そのウワサ、誰から聞いたんだ?」
答えなかった。誰からかなんて問題じゃない。
「まあ、出所は営業2課のヤツなんだろうけど。
それは、後輩が取引先との打ち合わせに遅刻したときのことだよ。
注意したら、『すみません。でも、過ぎたことはしょうがない
じゃないですか』って開き直ったから怒鳴ったんだ。
そしたら、その場にいたヤツラがかばったのは、後輩のほうだった。
あー、ここじゃやってらんないなって思ったよ。
かばわれることで、そいつは成長するチャンスを逃したんだからな」

浩之さんは怒りを抑えて、淡々と言った。
その口調にほっとして、私は思ったことを正直に言った。
「浩之さんの言ってることは確かに正しいと思う。
でも、言い方に問題があったんじゃないかな。怒鳴らなくても……」
「オレが悪いっていうのか?」
「そういう風に、いつも責めるようにモノを言うから、
私も、まわりの人も、つらくなっていくんだよ。
正しいとか悪いとかじゃなく、思いやりがほしいってわからない?」
浩之さんは、いまいち理解できない、という顔をしている。

そのとき、浩之さんの携帯が震えた。
浩之さんが携帯を取り出したとき、
ふと見えてしまった待受画面に驚いた。
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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