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53話 この人で本当にいいの?


久しぶりに会った陽向さんは、いつもの温かい笑顔を私に向けた。
「少しやせたんじゃないですか?
詩織さんを太らせるために、ときどき食事に誘っていい?」
「もちろん。でも、ほどほどにお願いします。私、すぐ太るから」
「太ってても、痩せててもいいよ。詩織さんが元気なら」
え、いいの? 私の腕が太くても、陽向さんは気にならないの?

翌週も、陽向さんと食事をした。
予約をしたはずなのに、店の手違いで満席になっていた。
陽向さんは「じゃあ、違う店にしようか」と穏やかに言った。
浩之さんだったら、お店に怒っただろうな。
年上の浩之さんより、年下の陽向さんのほうが大人に思える。
年上の彼氏がいいとか年下がいいとか、叶絵と話したことが
あったけど、人の成熟度って年齢じゃないんだと気づいた。
あのとき、同じ日に2人から食事に誘われたとき、
最初から陽向さんを選べばよかったかも……と思った。

陽向さんと食事を重ねるうち、私の心は癒されていった。
気に入られようと必死にならなくていいから、
安心できるというか、一緒にいてラク。
だけど、デート前のワクワクがない。
浩之さんと会うときは、アクセサリーひとつを選ぶのにも
ドキドキしていたのに。
……私、本当に陽向さんでいいのかな?

なんとなく浮かない気分を晴らそうと、スポーツジムへ行った。
帰り道、急に雨が降ってきたので、目の前にある書店に入った。
自然に、吸い込まれるように見た先に、見覚えのある姿があった——。
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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