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48話 本当に残業?


浩之さんは一瞬気まずそうに目をそらした後、
開き直った態度で、まるで自分が正しいかのように私を見た。
「今日、本当に残業だったのか、怪しかったから」
「は?」
「今までそんな残業とかなかったし、メシ食わないのもおかしい。
本当は誰かと食事してたんだろ?」
まさか、私の浮気を疑って、携帯を盗み見していたの!?

呆れた気持ちと、怒りと、そして情けなさがこみ上げてきた。
「本当に、残業してたの!」
私が怒鳴ると、浩之さんの顔がカッと赤くなった。
「それが怪しいって言ってんだよ!
今日じゃなきゃいけないような大事な仕事、お前、してたっけ?」

この人は、私のことをそこまでバカにしていたの?
怒りが体中を駆けめぐり、頭の芯までぼうっとなった。
口も舌も固まって、言葉がうまく出てこない。
そんな私の前で、浩之さんは平然と私の携帯データを見続けている。
私は脱衣所に行き、さっき脱いだ洋服を着た。
そしてもう一度リビングに戻って、無表情に言った。
「気が済んだ?」
変なメールも、番号も、何ひとつあるわけない。
本当に仕事をしていたんだから。
私は浩之さんから携帯を奪い取り、バッグを持った。
そして、「別れよう」と告げた。
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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