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42話 自分勝手はどっち?


私は自分の耳を疑った。
「することだけしたら、あとは帰れってこと?」
浩之さんがムッとした顔をした。
「なんだよ、その言い方? 感じ悪くね?」
「浩之さんが先に、嫌な言い方したんじゃない」
「明日、早いんだよ。朝から定例会議があって、
その前に準備しなくちゃいけないことがあるから」
仕事のことを言われて、ハッとした。
「だから今週は会うのをやめようって言ったんだよ。
だけど、詩織がちょっとでも会いたいっていうから
がんばって時間を作ったのに……。なんだよ、それ」

「……ごめんなさい」
浩之さんに申し訳ないという気持ちが、急にわいてきた。
自分勝手だったのは、浩之さんじゃなく私のほうだった。
だけど、浩之さんは無言で壁に顔をそむけたまま、
私が玄関に向かっても、見送ってくれなかった。
帰りの電車の中から送った謝りのメールにも、返事はなかった。

私って、なんてバカなんだろう。浩之さんを怒らせてばかり。
浩之さんが冷たくなったのも、私のせいだ。
これ以上、浩之さんに嫌われたくない。
もっとキレイになって、もっと賢くなって、彼に認めてもらいたい。
翌日から、私はスポーツジムでのトレーニングを増やし、
カロリーを減らすために食事制限を始めた。
そして5日目の朝、出社直後に倒れてしまった。
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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