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40話 最後の希望


浩之さんの冷たい言葉で、私の心は何度も凍り付いてきたけど、
それが今の言葉でとうとう割れてしまった。
浩之さんは、温かい陽向さんとは正反対……。
そう思ったら、大きな悲しみと強い怒りが湧いてきた。
「雨が降ってるんだよ? 私はカサを持ってないの。
駅まで迎えに来てくれるくらい、いいじゃない!」
初めて、浩之さんに向かって怒鳴った。

そのまま返事を待たずに電話を切った。
みじめで涙が湧いてきた。
しばらく前、浩之さんに急に帰れと言われて、
夜道を1人で歩いたときの気持ちに似ている。
私って、全然大事にされていない。
愛されていない。
それがみじめで、悲しくて、ものすごく孤独だ。

だけど私は、最後の希望を捨てられずにいた。
もしかしたら、浩之さんが来てくれるかも。
そう期待してしまって、一歩も動けずにいる。
15分経ったとき、かすかな期待が失望に変わった。
浩之さんの部屋は、駅から5分程度の距離だ。
やっぱり、彼は来ない——。
私は路上へ目を向けるのをやめ、改札へと歩き始めた。

「ビームスで買い物したの?」
ふいに、声が後ろから聞こえた。大好きな、あの声……。
振り向くと、カサを手にした浩之さんが立っていた。
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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