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36話 浮気じゃないけど


急に今から来いと言われても、そんなの無理。
私は浩之さんに、
『友だちと食事してるから、終わったら行くね』
とメールを打った。
トイレを出て洗面台で手を洗っていると、返事が届いた。
『食事って他の男といるんじゃねーの?
だったらもう来なくていいよ』

血の気が引いた。
まずは、陽向さんといることを見抜かれて怖いと思った。
それから、来なくていいと拒否されたことに傷ついた。
これはどういう意味なんだろう?
今日はもう顔も見たくないってこと?
それとも、もうずっと会いたくないってこと?

呆然としながら席に戻ると、陽向さんが心配そうな顔をした。
「顔色が悪いけど、大丈夫?」
陽向さんは優しい。一緒にいると癒される。
だけど、陽向さんのことをいいと思うことは、
浩之さんを裏切っているということだ。
そして、浩之さんのことを隠しているのは、
優しい日向さんを騙しているのと同じこと……。

自己嫌悪に突き動かされて、私は口を開いた。
「実は私、付き合っている人がいるんです」
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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