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29話 豹変する態度


叶絵ははっとしたように、私を見た。
「そうかも……。今度から、相手のいいところを探して、
一緒にいる時間を楽しむように努力してみる」
楽しむことを努力する、という言い方に驚いた。
私は浩之さんといるとそれだけで嬉しくて、楽しくて、幸せになる。
努力するのは、腕を引き締めるとか、経済の勉強をするとか、
自分磨きの部分だけだ。
努力しなきゃ楽しくないような関係を、ムリに続けることに
意味があるのかな? ……と思ったけど、言葉にするのはやめた。
叶絵だって一生懸命なんだ。傷つけたくない。

次の週末、浩之さんは会ったとたんに私を褒めた。
「あれ? 今日はアップなんだ。新鮮でいいね」
この間、ふとしたときに髪をあげたら、
浩之さんが『うなじが見えるといいね』と言ってくれた。
それを思い出してアップにしてみたけど、成功だったみたい。
「そのスカートも似合ってる」
ふんわりしたフレアースカートを選んだのは、
浩之さんが女性らしい格好を好きだと言っていたからだ。
浩之さんが褒めてくれると嬉しい。
浩之さんに嫌われたくない。もっと好きになってもらいたい。
私の頭の中は、ますます浩之さんのことでいっぱいになっていった。

その次の土曜日は、浩之さんの部屋でテレビを見て過ごしていた。
それまで普通に会話をしてたのに、急に浩之さんの機嫌が悪くなった。
「やっぱ、今日は帰れよ」と浩之さんが冷たく言った。
えっ、いきなりどうして——?
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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