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25話 遊びの関係はイヤ


予想外の反応に、少しパニックになって、私は言った。
「浩之さんを好きだから、旅行には来たの。
でも、浩之さんを好きだから、遊びの関係はイヤなの」
すると浩之さんは、フッと力を抜くように笑った。
「旅行にOKしてくれたから、もう恋人どうしなのかと思ってたよ」
それを聞いて、私の肩からも力が抜けていった。

その夜、私たちは結ばれた。
浩之さんの指に、声に、体に、私のすべてが吸いよせられていく。
「肌が合う」という感覚を、生まれて初めて味わった。

翌朝、初めはお互い照れたようなぎこちない雰囲気だったけれど、
そのうち自然にほほ笑みあった。
朝食は、緑に囲まれたテラスで食べた。
新鮮な高原野菜やそば粉のクレープのおいしさが口に広がり、
私は幸せいっぱいの笑顔になった。
その瞬間を、浩之さんが携帯で写真に撮った。
「今のが1番幸せそうな顔だった」と笑われた。
「それは、浩之さんといるから、幸せな顔になってるの」

本当に幸せだった。
完璧な幸せといってもいいくらい。
このときはまさか、恋人になってからがあんなに大変だとは、
夢にも思っていなかった。
でも、その前兆は、すでに帰りの新幹線の中であった。
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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