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24話 都合のいい女にならない方法


私たちはヴィラに戻って、軽井沢の地ビールを飲み、
夜が更けてもお互いのことを話し続けた。
子どものころのこと、家族のこと、職場のこと、趣味のこと、
話題は尽きないはずなのに、ふいに沈黙が訪れた。

その合図を待っていたかのように、浩之さんの顔が近づいてきた。
自然に唇が重ねられる。昼とは違う、濃密な接触。
そして彼の指が、私の服のボタンを外した。

「待って」

私は体をよじらせ、彼の指をかわした。
今こそ、叶絵が教えてくれた『都合のいい女にならない方法』
を実践するタイミングだ。
私は、叶絵に教えられたとおりの言葉を口にした。

「私、浩之さんのことが好き。
だけど、恋人どうしになってからじゃないと、先には進めない」

ちゃんと付き合うつもりがある男は、たいてい、
ここで「付き合おう」と言ってくるのだという。
逆に、ここで手を止めたら、「遊び」だってことだ。

だけど、浩之さんは驚いた顔をして、
「恋人どうしじゃなくても、旅行には来るわけ?」と言った。
言われてみれば当たり前の矛盾をつかれ、私は言葉につまった。
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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