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22話 旅行のはじまり


叶絵が教えてくれた『都合のいい女にならない方法』は、
シンプルで、少しの勇気があればできるものだった。
私はその勇気を胸に秘め、浩之さんと軽井沢へ行った。

軽井沢の駅に降りると、涼やかな風が吹いた。
送迎バスに乗って直行したのは、緑の木立に囲まれたオーベルジュ。
フロントでチェックインしたあと、敷地内を車で移動し、
テラス付きのヴィラに案内された。

窓から差す木漏れ日が、白を基調としたモダンな室内を緑に染めている。
景色を見ても、内装を見ても、備え付けのお茶やお菓子を見ても、
すべてに「素敵!」という言葉が出てしまう。
「新幹線で1時間ちょっとだったよね。
東京からすぐのところに、こんなに素敵な場所があるなんて」
「素敵!」を連発してはしゃぐ私を、浩之さんが後ろから抱きしめた。
いきなり……!? 
驚いて、心臓が大きく脈打った。

「こんなに喜んでもらえて、ここを選んだかいがあったよ」
耳元で、浩之さんがうれしそうにささやいた。
私を抱く腕にぎゅっと力が入ったかと思うと、
浩之さんの頬が私の頬に触れた。まるで頬と頬のキスみたい。
愛情のこもったしぐさに、心がやわらかくなっていく。
ふいに、浩之さんの腕がほどかれた。
今度は唇と唇で、ゆっくり触れあうとてもやさしいキスをした。
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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