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18話 特別な相手


待ち合わせ場所は、駅の近くの書店だった。
店の奥に、本を手に取る浩之さんを見つけた。
その瞬間、うれしさが全身を包み込んで、幸せな気持ちになった。
これまでは、ずっと遠くから見ているだけで、近づけなかった。
それが今は……1歩、また1歩と、彼に近づいていける。

浩之さんが手にした本のタイトルが見えた。
『成功する営業のルール』
休日も仕事のことを考えているなんて、なんだか頼もしい。
私の気配に気付いて、浩之さんは顔をあげた。
「おまたせしました」
「いや、待ってないよ。オレが早く来てただけだから」
彼の笑顔を見たとたん、『大好き』という気持ちが体中をかけめぐった。

大好きだと思える人と、向かい合って2人で食事をする。
なんて幸せなことなんだろう。
浩之さんが選んでくれたのは、有機野菜のフレンチだった。
繊細で華やかな盛りつけで、食べるのがもったいないくらい。
口に運ぶと、野菜ならではの味がきちんとして、すごくおいしい。
こんなに素敵なお店を選んでくれるなんて……。
うっとりとした気持ちにひたる中、ふと浩之さんの年齢を思い出した。
大人の男性にとっては、これくらいふつうなのかな?
私だから特別に気をつかってくれたわけじゃなくて。

——浩之さんにとって特別な1人になりたい。
そんな贅沢な願いが湧いてきた。
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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