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12話 恋人になる可能性ゼロ


陽向さんはいい人そうだし、また会ってみたいなと思う。
それなのに、Yesと答えるのを躊躇してしまうのは、
浩之さんのことがまだ気になっているから——。

でも、浩之さんは私にまったく関心がない。
もうすぐ転職しちゃうし、連絡先も知らないし、
仲良くなれる可能性はほとんどゼロ。
ってことは、浩之さんのことをいつまでも想い続けていたら、
この先、私に恋人なんてできるはずないよね。
食事に誘ってくれる陽向さんの存在が、急に貴重に思えてきた。
ときめくわけじゃない。
ただ、「いい人そう」と思うだけ。
こういうのが、恋愛の始まりになることもあるのかな?

「食事をOKして正解だよ」と叶絵は笑顔で言った。
「やっぱり人間は中身だからね。そういうのって、
食事をしたり、付き合ってみたりしなきゃわからないでしょ」
叶絵の言うとおりだと思う。
陽向さんと食事をして、中身を知っていく。
それは素敵なことのように思えてきた。

ふと、社員食堂の入り口に目がいった。
磁力に引き寄せられるように、自然に。
そこには、トレイを持った浩之さんがいた。
あ……と思ったら、浩之さんは私のほうへと歩いてきた。
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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