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10話 思いがけないリクエスト


「以前、食堂で……」
浩之さんは「え?」という顔をして、辺りを見渡した。
他に誰もいないので、話しかけられているのが自分だと認識したようだ。
聞き取れなかったかもしれないと、私は最初から言い直した。
「食堂で、隣の席になったことがありましたよね?」
「え? そうでしたっけ?」
浩之さんは、私のことを覚えていないようだった。
そうだよね、隣り合わせただけの社員を覚えているわけないよね。
仕方ないとは思ったけど、やっぱり傷ついた。

エレベーターが5階に着き、ドアが開いた。
浩之さんは不思議そうな顔で私を見ながら、
「じゃ、失礼します」と会釈をして降りていった。
恥ずかしい……。
話しかけなければよかった……。
後悔と自己嫌悪が押しよせ、泣き出したいほど落ち込んだ。

夜、アパートに帰った後、食事もとらずに缶ビールを開けた。
こんなことになったのは、フェイスブックで彼のことを知って、
勝手に身近に感じたせいだ。
フェイスブックなんて、もう退会しよう。
そう思ってパソコンを開くと、友達リクエストが届いていた。
『竹下陽向』という人からだ。
誰だろう?
あ! この前、会社で案内した人だ。
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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